「えーと、40分くらいです。」
「そうか、それじゃ今日授業が終わって4時に学校を出るとしよう、そしたら君は何時に家に着くのだろうか?」
「えーと、4時40分です」
「ちがう!ちがう!そんなんじゃない!」
「えっ!」
「いいかい!君は今日学校から帰る途中、寄り道してしまうかもしれない、畑仕事をしているお父さん、お母さんの手伝いをしなければならないかもしれない。そうしたら君は4時40分に家に着くことはない。」
「・・・・」
「いいかい、君が道草をしている時間、それは君にとって、かけがえのない君だけの、大事な大事な人生の一部なんだよ」
10年くらい前に見た『宮沢賢治の授業』というNHKのドラマの冒頭部分だったと思います。主演は確か竹中直人。賢治が一時期岩手の花巻中学校で教鞭をとっていた時の授業内容を当時の生徒だった方の話をもとにドラマ化したものだったと記憶しております。
ちょうどそのころ、毎年夏に、NHKが各支局製作の「ニューウェイブドラマ」という枠でドラマを3夜連続で放送していたのを思い出して、懐かしく思いながら、書きました。
『宮沢賢治の授業』というのも、そのドラマ枠の中のひとつで「ニューウェイブ」というくらいでしたので、かなり実験的なドラマを地元の風景を織り交ぜつつ作られていました。
話は変わりますが、2週間ほど前にアメリカのサブプライムロ-ンの問題を書きました。まあ検索に引っかかるのか、その時のブログのアクセスが非常に増えています。その時は世界経済への影響という部分に関してはまだ未知数で、新聞記事の中でもほとんど枠は取られていませんでした。
しかし一体誰がこのような「世界同時株安」という状態を予測できたのでしょう。たった2週間後のことですら誰も予想だにしなかったことと思います。我々は評論家や経済アナリストの今後の見通しを聞いたりして、リスクに備えたりします。
年頭に今年の株価の推移について各アナリストたちが独自の分析をして、見通しを予測します。しかし誰も後にその分析結果についての検証を行おうとしません。競馬の予想屋ならすでに廃業でしょう。
賢治の教えではありませんが、世の中皆全く予想のつかないことに溢れています。様々な出来事が人間たちの複雑な人生と絡み合い、事件事故、自然災害などを含めて大きく変動していきます。
そんなものを一部の過去のデータなどのサンプルをもとに、結果を出そうとするのに無理がある。まあそれでも何かにすがりたいと思う人の気持ちがありますから、もっともらしい結論を用意しなくてはならないのかもしれません。
私はもし「レバレッジの力」を100%信じたのであるなら、最初から自己資金を少なくして多額の借入れをして、物件の購入を進めていったでしょう。しかし元来怠け者の私にはそこまでのモチベーションがなかったので、結果最初の物件は自己資金を多くせざるを得なかったのです。
例えば5000万円の物件を1000万の自己資金で利回り23%の物件を購入したとすると、25年ローンで月々の返済額は約20万円。月々の家賃収入は約96万円、となると月々のキャッシュフローは76万円×12ヶ月で約900万円。そして翌年にはそれを元手に繰り返して・・・。
ということになるが、仮にうまく利回り23%の物件を買えたとしても、世の中そんなにはうまくはいきません。私の3棟目に買った物件などは当時利回りは14%以上ありましたが、今では立派な赤字物件です。それには様々な予想不可能な要件が重なり、このような事態になりました。(もちろん勉強不足であったことも否めません)
4棟目はもともと利回りは10%と低く、資産としての価値と立地のよさから、空室率が低いであろうとの予測で買いましたが、確かに空室率は非常に低いし、家賃の値下もほとんど行っていませんが、想像以上に儲かっていません。
レバレッジとはこうした予測不可能な要件を一切排除して考えられた理論です。こうならないように色々勉強したり、セミナーに行って自己防衛を図っていかなくてはならないのかもしれませんが、自然災害は別として、到底予想もできない事態というものは必ずどうしようもなく訪れます。
そんなの気にしていたら何もできないよ、という声もあると思いますが、もし私が運良く、最初の物件で物件購入価格の70%以上のローンを組めたとしていたら、たぶん私の不動産投資は破綻していたでしょう。しかし私の妻は何もそういった本を読まない人間ですが、最初からそのことに気づいていました。
私は本などで、「最初の購入物件は自己資金を多くした方がいい」ということを頭では分かっていたのですが、実感として分かっていなかった。そして魅力的なレバレッジの理論に傾倒していたのです。
そして思いました。案外冷静になって自分の、人としての常識やモラルにのっとって考えを深めていけば、おのずと答えが出るようなことって結構多いのではないということを。
keta
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